検索ボリューム月50〜100のニッチBtoBサービスで、AI検索経由の問い合わせを月3件創出
概要
主要キーワードでも月間検索ボリュームが50〜100しかない、ニッチなBtoBサービスを複数提供している企業の事例です。
検索市場が小さい商材では、「検索順位を上げてアクセスを増やす」という一般的なSEOの成功パターンが、そのままでは機能しません。加えて、生成AIやGoogleの「AI による概要」の普及によって、これまで流入を支えていた情報系コンテンツへのアクセスが減っていました。
本事例では、施策に着手する前に、まず「AIが同社を何と説明しているか」を実際に測るところから始めています。そこで分かったことと、そこからブランドの定義をどう組み直したかをご紹介します。
課題
同社はこれまでもSEOに取り組み、情報系のコンテンツを継続的に制作していました。しかし生成AIの普及にともない、「〇〇とは」といった知識系の検索はAIが直接回答してしまうため、サイトへの流入は減少していきます。
AI検索対策として挙げられることの多い構造化データの実装やFAQページの追加は済ませていましたが、それだけでは問い合わせ数に変化はありませんでした。
さらに、対象のサービスは主要キーワードでも月間検索ボリュームが50〜100程度です。アクセス数を増やすこと自体を目標にしても、事業の成果には結びつきません。限られた検索需要の中で、サービスを本当に必要としている見込み顧客に見つけてもらう必要がありました。
そして、見込み顧客が比較・検討を行う場所は、Google検索だけではなくなっています。「どの会社に相談すればよいか」をAIに尋ねたときに、選択肢として挙げられる状態をつくれるかどうか。ここが取り組みの焦点になりました。
ご支援内容
AIが同社を何と説明しているかの実測
最初に行ったのは、施策ではなく現状の測定です。
ChatGPTやGoogleの「AI による概要」など複数のAIに対し、同社に関する質問、同社が提供するサービスの内容・カテゴリーに関する質問、競合と比較する質問を、同一の条件で投げ、回答を記録しました。
その結果、次のことが分かりました。
- 社名を挙げても同社を特定できず、別業種の同名企業の情報が返る面があった
- 説明できる面でも、実際に提供している価値と食い違っていた
- 「◯◯会社 おすすめ」など、サービスカテゴリーで尋ねた際に候補に挙がる社名に同社は含まれず、競合他社のみだった
原因は、施策の不足ではありませんでした。AIは自社サイトだけでなく、ウェブ上のさまざまな情報から企業を認識します。同社の場合、サイト内でもサービスの説明や訴求の軸がそろっておらず、AIが参照できる「この会社が何者か」の一次情報が存在していない状態でした。
ブランド定義の再設計
測定で分かった食い違いを埋めるため、ブランドの定義を組み直しました。
「誰に、どのような価値を提供するサービスなのか」「競合と比較して何が違うのか」「どのような課題を持つ企業に選ばれたいのか」を整理し、それまで前面に出していた「低価格」ではなく、「手法の精度の高さ」に軸を据え直しました。
要点は、社内向けの理念をつくることではなく、AIにも人にも同じ一文で説明できる形にすることです。
定義を基準にしたサイトのリニューアルとコンテンツ
定義を基にウェブサイトをリニューアルしました。
提供価値、対象顧客、選ばれる理由、競合サービスとの違いを、ページ構成のレベルで整理し直しています。
コンテンツ制作でも同じ定義を基準にしました。「〇〇とは」「〇〇の方法」といった一般的な知識をまとめ直した記事は、AIが要約して直接回答してしまうため、量を増やす方針は採っていません。
代わりに、担当者や専門家による一次解釈、実務から得られた知見、具体的な事例など価値がある内容に絞りました。
獲得した接点を商談につなぐメールマーケティング
サービス資料をダウンロードした関心度の高い層には、サービスの特徴や導入メリット、事例を段階的に伝えるステップメールを配信。ホワイトペーパーをダウンロードした層には、業界動向や専門的な情報を継続的に届けるメールマガジンを配信しました。
検討段階に応じてコミュニケーションを分けることで、獲得した接点を一度きりで終わらせない設計にしています。
成果
施策開始から3カ月で、サービス選定に直結する「〇〇会社 おすすめ」というキーワードで、Googleの「AI による概要」に同社の情報が掲載されることを確認しました。
そして、AI検索をきっかけとした問い合わせが月3件発生しています。測定方法は、問い合わせの際に「どのように弊社サービスを知りましたか」という質問を設けました。
サイト全体でも、問い合わせ数は月10件程度から月25件へ増加しました。うち商談化が12件、受注4件です。
参考として、月間訪問数は約200から約3,000に増加しています。ただし検索市場自体が小さい商材のため、訪問数の増加そのものは本件の目的ではありません。なお、施策前の問い合わせ月10件はウェブ以外の経路を含みます。
AI検索対策というと、構造化データの実装やFAQの追加といった技術的な作業が思い浮かびます。しかし本件で最も効いたのは、AIが参照できる「この会社が何者か」の一次情報をつくったことでした。
AIはウェブ上の情報から企業を認識します。参照できる正本がなければ、AIは断片的な情報から推測して説明するしかなく、その説明が企業の意図と一致する保証はありません。技術的な実装は、正しい情報が存在してはじめて意味を持ちます。
検索順位やアクセス数だけでなく、「AIからどのような会社として認識され、比較・検討の場面で選択肢として挙げられるか」まで設計する。検索ボリュームの小さいニッチな市場ほど、この差が問い合わせの有無に直結します。
- 数値はいずれも同社の計測環境で取得したものです。リニューアル前後で計測条件は同一です。
- AIの回答は、利用環境や時期、質問の言い回しによって変わります。常に同じ表示となることを保証するものではありません。
- 複数の施策を同時に進めているため、個々の施策の寄与は分離していません。
同じような課題をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
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